生物医化学研究室、キチン分解酵素がキチンと同程度にセルロースと結合することを解明

Bacillus thuringiensisはグラム陽性の土壌細菌で, クリスタルタンパク質 (Cry) と呼ばれる殺虫性タンパク質を生産し, バイオ農薬として利用されている。また,キチナーゼがこの殺虫作用を促進する。本研究では, B. thuringiensisが生産するキチナーゼ (BthChi74) の特性を解析した。大腸菌を宿主として,BthChi74 を組換えタンパク質として発現させ, 活性を持つ酵素として取得した。精製した BthChi74 は,50°C,pH 3.5–7.0 の高温および弱酸性条件下で機能し,コロイド状キチンと結晶性 α-キチンを加水分解した。さらに, 種々の多糖基質に対する BthChi74 の結合能力を試験した結果,BthChi74 はキチンだけではなく,加水分解できないセルロースとの結合性を示し, その結合活性はキチン基質と同程度であった。これは, BthChi74 が C 末端側に保持するキチン結合ドメインが,多くの細菌キチナーゼが持つキチン結合ドメインと異なるためと考えている。
研究成果_本田2