工学院大学先進工学部 生命化学科

「生命科学」と「有機化学」。ふたつのカガクで、人類の未来に貢献する。

バイオ分野

生命の営みの仕組みの一端を科学的に解明し、生命科学の発展に寄与します。
また、新しい発見の原理を利用して、医療、エネルギー、食糧、環境など、人類の未来にかかわる問題に対してイノベーションを起こします。

医薬品分野

生命科学と有機化学の知識を基に、医薬品とその標的となる生体高分子との相互作用を学びます。
また、薬理活性をもった有機化合物の探索法や合成法、さらには生物化学や分析化学に基づく薬理活性、安全性の評価について学びます。

生命の営みの中に見られる現象は多様で複雑です。「運動する」、「増殖する」、「成長する」、「刺激に反応する」、「環境に応答する」、「物質代謝を営む」など、数え上げたらきりがありません。しかし、『生命科学』の進歩により、あらゆる生命現象が分子どうしの相互作用や化学反応によって起こっていることが解ってきたと同時に、生命への理解が飛躍的に深まりました。私たちはここに化学者が活躍できる場があると考えています。つまり、あらゆる生命現象の裏側に潜む化学的な出来事を、分子・原子のレベルで明らかにしていくことです。

この新しい冒険に、私たちは「有機化学」という学問をパートナーに選びました。

「生命科学」「有機化学」、ふたつの『カガク』が強固に連携し、互いに高めあったとき、本学科の学びに強みが生まれ、そして人類の未来に貢献する新しい叡智がきっと生まれるはずです。

化学者として、生命を学び、生命に学ぶ - 新しい物質を発見する・合成する -

有機化学をベースに、化学の言語である分子構造式と 化学反応式を表現する力を身につける。

専門分野
医薬品合成 • 天然物合成 • 医薬化学
就職先
製薬、化学などの製造業、教員
将来のあなた
天然物・医薬品の生物機能を化学構造から理解し、それらを自在に合成できるようになることで、医薬品を開発できます。

複雑な構造の化合物、例えば天然有機化合物の探索や合成に取り組むことにより、新たな解析技術や反応、独創的な分子をデザインする能力を身につけ、創薬技術や様々な素材の開発に携わることができます。

生物化学をベースに、生命科学を探求し、生命現象を化学の目で理解する力を身につける。

専門分野
細胞生物学 • 遺伝子工学 • 酵素化学
就職先
医療、化学などの製造業、教員
将来のあなた
核酸やタンパク質が関わる物質代謝を理解し、遺伝子操作や細胞培養を行えるようになることで、医療技術を開発できます。

生体を構成する様々な細胞の働きや、細胞の機能を制御する遺伝子、酵素などの生体分子について学び、医療やバイオ産業に貢献する先進的なバイオテクノロジーの開発に携わることができます。

生物工学をベースに、生物の機能を環境・エネルギー・食糧に活用する力を身につける。

専門分野
植物生理学 • 微生物工学 • 環境生物化学
就職先
農林・水産、化学などの製造業、教員
将来のあなた
微生物の物質代謝を理解し、その培養と物質生産を行えるようになることで、生物資源の有効利用法を開発できます。

微生物の多様な代謝機能、生長・分化における制御物質、培養方法などを学ぶことで、環境・エネルギー・食糧に関する問題を解決すべく生物資源の利用技術の開発に携わることができます。

卒業生の声

矢野さん

2018年度 卒業 / 2020年度 修士課程修了
株式会社 井上香料製造所

親身になって勉強を教えてくださる先生方や支えてくれた友人のおかげで充実した学生生活を送ることができました。職場でも大学で学んだことが活かせています。化合物の構造は核磁気共鳴分光法(NMR)、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)、赤外分光法(IR )などで、1つ1つ情報を集めて決定するのですが、大学の授業で基礎を学び、研究室で実践していくことで、解析スキルを身につけることができました。

竹部さん

2018年度 卒業 / 2020年度 修士課程修了
第一三共ケミカルファーマ 株式会社

私は製薬会社に就職し、バイオ医薬品の研究や治験薬の製造を担当しています。大学時代に生化学分野を専攻して学んできた知識を活かせる仕事につけて非常に嬉しく思います。

髙﨑さん

2018年度 卒業 / 2020年度 修士課程修了
H.U.グループホールディングス株式会社

私は臨床検査薬事業の臨床検査薬情報担当者(DMR)として、医療現場での課題解決や営業売上の獲得等を行っています。大学院を修了したことは、医局説明会や臨床検査技師との面談にとても役立っています。今後は新たな挑戦としてマーケティング担当を目指しています。

木村さん

2020年度 卒業
キユーピー醸造株式会社

私はキユーピー醸造株式会社に就職し、現在は茨城県の五霞工場でマヨネーズに欠かせないお酢を製造しています。大学時代の研究室では微細藻類の研究をしていました。お酢は微生物の力を借りて作られているので、研究室で学んだことを活かしながら働くことができています。皆さんも長く短い大学生活を、目標を持ちながら過ごし、夢にむかって頑張ってください。

研究拠点としての生命化学科

生命化学科の研究室を中心とした研究プロジェクト『生体分子システムを標的とした天然物由来新規生理活性物質の開発』が、私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に認定され、2014年度から2018年度まで実施されました。

本学科の研究室で行われる各分野間の研究を密に連携させることで、日本の新しい研究拠点「生体分子システムセンター : Bio-molecular system center (BMSC)」を目指した先端研究が実施されました。

本プロジェクトでは、生命化学科のメンバーが連携することで微生物・植物・バイオマス等からの有用物質の開発を効率よく行う研究を展開し、数多くの成果が生み出されました。本研究で開発された生体由来の化学物質は、医薬品のほか機能性素材・食品等のシーズとなり、広く産業界に提示されると期待されます。

本プロジェクトで得られた成果を基に、生命化学科としての連携を発揮し、より発展的かつ魅力的な研究が現在も実践されています。

研究課題

課題1
重点課題:がん治療薬の開発研究
課題2
天然物由来の生理活性物質および有用物質の収集と合成・構造研究
課題3
生理活性物質のアッセイ系の開発と改変・有効化
課題4
生理活性の作用機作解析のための分析法の開発