工学院大学先進工学部生命化学科の客員研究員 大川一明博士と小山文隆教授らのグループは、げっ歯類で特異的に発現しているキチナーゼ様タンパク質の一種である Ym1 のキチナーゼ活性が失われた原因を解明しました。今回の成果は、Ym1 の病態生理学的役割を理解するための一助となる発見です。この成果は、国際学術雑誌 “Protein Science” に公開されました。
図の説明文
齧歯類の Chia は、進化の過程でアミノ酸置換が導入されにくかったため不活性化しなかった。一方、Ym1 は進化の過程でアミノ酸置換が積極的に蓄積し、触媒モチーフ、Exons 6 、 7、 および 10 の機能不全、および Exon 11 へ停止コドンが挿入され、不活性化した。
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論文情報
掲載誌 : Protein Science, 32, e4620, 2023.
論文タイトル : Irreversible evolutionary loss of chitin-degrading ability in the chitinase-like protein Ym1 under positive selection in rodents
(和訳:げっ歯類のキチナーゼ様タンパク質 Ym1は正の選択下でキチン分解能力が不可逆的に喪失した)
著者: Kazuaki Okawa, Eri Tabata, Yuta Kida, Kyohei Uno, Hidetoshi Suzuki, Minori Kamaya, Peter O. Bauer, Fumitaka Oyama
URL : https://doi.org/10.1002/pro.4620
DOI : 10.1002/pro.4620