生物医化学研究室 カニクイザル酸性キチナーゼが頑強なキチナーゼ活性を有することを解明

 カニクイザル(Macaca fascicularis)は,カニや昆虫などのキチン含有生物をエサとする雑食性動物であり,胃において酸性キチナーゼ (Acidic Chitinase, CHIA) を高いレベルで発現している。本研究では,カニクイザル CHIA の機能的特性を報告する。カニクイザル CHIA は,マウス Chia と比べ,広範囲なpH(pH 1.0-7.0)および温度(30-70℃)の条件下で強いキチナーゼ活性を示した。また,カニクイザル CHIA は,至適 pH (pH 5.0) 条件下で65℃ で最大活性を示し,70℃ においても活性を保持していた。このように,カニクイザル CHIA のキチン分解性,酵素安定性は,マウス Chia よりも優れていた。私たちの結果は,カニクイザル CHIA が頑強なキチナーゼ活性を有し,生物・医化学領域において応用利用が可能であることを示した。

 この研究は大学院化学応用学専攻博士課程3年の上原麻衣子さんが中心になって行われたものである。

<発表雑誌>雑誌情報: Scientific Reports 11, 15470 (2021).
論文名:Robust chitinolytic activity of crab-eating monkey (Macaca fascicularis) acidic chitinase under a broad pH and temperature range

URL:https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsmedchemlett.0c00527
DOI: 10.1038/s41598-021-95010-w
発表者:工学院大学 先進工学部 生命化学科 生物医化学研究室
Maiko Uehara, Eri Tabata, Mikoto Okuda, Yukari Maruyama, Vaclav Matoska, Peter O. Bauer and Fumitaka Oyama