生物医化学研究室、サイズの異なる二つのListeria innocuaキチナーゼの発現を大腸菌で成功

 キチナーゼは,キチンのβ-(1→4)グリコシド結合を加水分解する酵素で,幅広い生物が有している。非病原性細菌Listeria innocuaが持つ2種のキチナーゼ様遺伝子(lin0153, lin1996) は,食品媒介細菌の一つであるL. monocytogenesの病原性に関与するキチナーゼととても高い同一性を持つ。リステアの酵素化学的質研究は,ヒトへの感染におけるキチナーゼ機能的役割の解明に繋がることからL. innocuaから二種のキチナーゼ様遺伝子をクローニングし,大腸菌で発現させた。それら遺伝子産物の特性を,人工基質[4NP-(GlcNAc)2]や天然基質(コロイダルキチン,鎖長の異なるオリゴ糖 ) を用いて調べた。
 LinChi78 (lin0153遺伝子産物)とLinChi35 (lin1996遺伝子産物)は,大腸菌で可溶性タンパク質として得られ,人工基質に対してそれぞれ中性または酸条件下で最適な活性を示した。コロイダルキチン基質と時,両酵素は主に二量体を生成した。しかし, 種々の重合度が異なるオリゴ糖基質に対する分解挙動を調べた結果,LinChi78と LinChi35は,それぞ進行型エキソと非エンド型の加水分解様式で作用することが示唆された。これら性質の違いは,活部位中サブイト付近アミノ酸の違いに起因していると考えている。
研究成果(Honda)